こんにちは、ともはちです。
今日は、EB債のご紹介です。証券会社からのメールでよく送られてきますが、こういった債権をリスク評価せず、利回り10%を超えている、すごい!高利回りだ!って飛びついて購入してしまうのは、メチャメチャ危険です。
うまい話には裏があるよーという話なのですが、EB債はその最たるものではないかと思います。一見すると、株式よりもリスクが低いと言われている債権なので、低リスクな商品じゃないかと思っていると大間違いで、FXや信用取引より高いリスクを抱えている商品です。イコールNGではありませんが、商品の特性を理解せず、購入すると痛い目を見る可能性が高いので、EB債ってこんな商品だよというのをご紹介していきたいと思います。
EB債とは?
EBは、Exchangable Bondの略で、他社株転換可能債のことです。他社転換可能債?転換社債みたいなもの?いえ、全然異なります。
EB債とは、償還日までの対象株式の株価変動により、(債権の発行体に都合が良い)リスクヘッジが入った債権です。
EB債では、高利回りの配当がもらえる債権のように見えますが、株価の変動により以下のパターンで償還されます。
- 株価が当初価格の105%以上になった場合
- 早期償還されてしまいます。つまり、値上がりしすぎた場合、その時点で債権は償還され予定の利回りをすべて得ることはできません
- うん?すでにきな臭いですよね笑、そうなんです、値上がりしたら、その分のリターンがあれば良いのですが、限定的なのです
- 株価が当初価格の85%以上だった場合
- 予定通りの金利が支払われます
- ただし、期間中に一度でもノックイン事由(株価が-30から33%程度に設定されています)に達すると、満期日に最終価格が行使金額以上なら出資額は現金で償還されますが、それを下回る場合は、償還金の代わりに会社の株式が割り当てられます!
- うん?株式が代わりにもらえるなら損じゃないんじゃない?と思ったあなた、要注意です。株式が割り当てられるのは良いのですが、これは値下がりした株式が割り当てられます
- 出資金は戻ってこないは、戻ってきたのは現金でもなく値下がりした株式というトラップがあります
ということは?そう、値上がりしすぎたときはその果実を享受できないのに、損したときは株式の損を丸々被る、そういう債権だということです。あれ?だったら、株式を普通に買った方がキャピタルゲインも狙えるし、損切りもできるから、リスク低いんじゃないか?そうです、債権なのに、リスクは株式より高いんです。これがEB債です。
EB債は、仕組債の一種ですが、仕組まれているのは巧妙な落とし穴というタイプの債権です。日本では普通に販売されていますが、リスクが高い投資商品ということで、欧米では個人向け販売が禁止されています。
細かい説明は省きますが、EB債には「オプション取引の売り」というハイリスクなデリバティブ取引が含まれており、期待収支がマイナスで設計されていることが多く、非常にハイリスクな商品なのです。
実際に、いつも利用している証券会社からのオススメということで、EB債の紹介がメールで来ていますが、こんなハイリスクな商品を普通に一般投資家にオススメしているのは正直ビックリです。
信用取引やFXはリスク高いから現物株や債権運用しかしないよ(裏返すと、投資リテラシが高い方もいますが、正直多くはそこまでリスクが高い商品を運用するほどの投資リテラシがない方)という人たちに対して、信用取引やFXよりもリスクが高い商品を高利回り債権という形で紹介しているため、リスクを誤認してしまう可能性も高いと感じるからです。
証券会社の名誉のためにお伝えしておきますと、もちろんその商品のリンクを辿ると説明はキチンとされています。ただ、信用口座も開設していないような一般投資家向けの説明としては難しい内容だと思いますし、記載の商品紹介の詳細を軽く読んでリスクを判断できる人は多くないと思います。
まとめ
EB債は、仕組債という債権の一種ですが、高いリスクを持った投資商品(投資というより投機)です。高配当だからという理由だけで、安易に手を出さないほうが無難です。
EB債をdisるような内容になってしまいましたが、投資商品のリスクが見極められる人は、まぁ買わないだろうと思う、ハイリスク商品を一般投資家に紹介している証券会社のマーケティングは、不親切だなと思っていたのと、このようなハイリスク商品を一般投資家に購入させて、やっぱ投資って危険と感じられて、投資家にとっても資産形成のチャンスを失う、証券会社も長期的には損をしてしまうLose-Loseな関係はなくなってほしいと思うので、こんな投資商品は買うな!という話を紹介させていただきました。
単純な拡大再生産の経済成長を続けられず、出生率も低下している日本において、頑張って働いても苦しい老後しか待っておらず、それを少しでも良いものにしてけるよう投資を勉強しているような一般の投資家の人たちが、適切な投資リテラシを身につけ、企業を応援しつつも資産形成できる、そんな未来に少しでも近づけたらと思っています。