会社が儲かっているとはどういう状態か?

こんにちは、ともはちです。

お気軽投資家お勉強シリーズです。会社が儲かっている、儲かっていないという言い方をしますが、それはどういう状態(数字)だと儲かっていると言えるのか?儲けているとしても、何で儲けているのか?を有価証券報告書や決算短信から紐解いて、会社の状況を読み取れるようにしていきたいと思います。

目次

会社の儲けを見るには、何を見たらよいか?

これは知っている方も多いと思いますが、損益計算書を見ることで確認できます。

損益計算書は、上場会社であれば四半期毎に発表される決算短信、年度末に出される有価証券報告書に掲載されています。

損益計算書

損益計算書は、このような感じで掲載されています。

ニトリPL

出典:ニトリホールディングス 2018年2月期 有価証券報告書

何を見ていくか?

最初に見たいのは、「営業利益」です。ここがプラスになっているかどうかは最重要です。営業利益は、会社が本業でどの程度儲けているかを示す数字だからです。

次に「当期純利益」を見ます。当期純利益は、最終的に会社がどれだけ儲けたのかを示しています。

当期純利益は株主にとってみると株価のベースとなる収益性(EPS)を表していますので、とても重要な値です。配当金の配当原資もここから出ます。

ただし、当期純利益は、本業以外の収益も含まれるため、営業利益がマイナスなのに当期純利益がプラスの会社は気をつけて数字を見ないとダメです。

営業利益より当期純利益がプラスになる要因としては、大きく二つあります。

一つが会社が本業以外に投資などで利殖している場合です。成長期を過ぎた会社は成長時期に得た多額の利益を内部に溜め込んでいます。本来配当として還元しない利益は、再投資に使われるものですが、成熟した企業は新規投資をする対象、事業領域をうまく作ることができないことが多く、内部留保しています。しかし、この利益をそのままにしておくのはもったいないため、会社も個人と同じように投資をして利益を得ることがあります。これが営業利益より当期純利益がプラスになる一つの要因です。

もう一つが、一時的な収益である特別収益です。有価証券売却益や保険金の受領などが計上されている場合です。

本業以外で儲けているのがなぜ注意なのか?

一時的な儲けだったり、会社独自の強みを活かした収益ではないため、今後の事業の成長とは紐づかないからです。事業が多角化し収益を得ている場合は、営業利益が増加しますので本業以外で儲けている状態とは異なります。別の本業が増えたと考えます。

本業以外の儲けとして認定されるのは、会社の本業ではない活動による収益、または一時的な収益の場合です。

収益性は「額」で見るか「率」で見るか?

結論から言うと、収益性は額と率、両方見ることが大事です。利益率80%と聞けば、もの凄い優良なビジネスに見えますが、売上は100円で80円しか儲かってないということもあるからです。逆に100億の利益があるけれども、売上高は1兆円で利益率は1%しかないというビジネスもあります。

比較することの重要性

収益性は、自社の単年の状態を見て良い悪いという評価をするよりも、同業界の他社競合と比較して良いのか悪いのか比較することで、業界内での効率性を加味して見ることができますし、自社の複数年度を比較することで成長性を合わせて確認することができます。

そのため、比較して数字を見ることがとても重要です。

おまけ

損益計算書に載っている利益で触れていない利益が三つあります。売上総利益、経常利益、税引前当期純利益です。

売上総利益は別名、粗利とも呼ばれますが、本業の費用を、製品を作るために必要な費用か、製品を販売するために必要な費用かに分割し、売上の中で製品を作るために必要な費用のみを差し引いた額を指しています。

売上総利益は、業界のビジネスモデルにより見方が変わって来ますので、この点はまた別途紹介したいと思います。

経常利益(経常、ケイツネ)は、営業利益に営業外収益、営業外費用を加味した利益になります。日本では営業利益より経常利益を見る傾向があります。本業以外であったとしても定常で発生する利益のため、その点も加味して会社の収益性を見ていたためです。ただし、この場合、本業の成長が鈍化し投資の配当で利益を上げているような会社も良好な経営状態の会社とミスリードすることがあります。日本独自の商慣習で表記されている数字ですが、欧米ではそもそも経常利益を表記する習慣自体がありません。

ファイナンス理論が日本にも浸透してきており、営業利益で収益性を見る考え方が少しずつ主流になってきています。経常利益については理解しつつも特に意識しないでも良いかと思っています。

税金等調整前当期純利益(税引前総利益)は、当期純利益を算出する前の法人税等を差し引く前の利益になります。収益性を見る観点では、この数字を切り出して見る必要性も特にありませんので理解しつつも特に意識しないで良いと思います。

まとめ

大事なのは、本業の利益(営業利益)、最終的な利益(当期純利益)です。ただし、何で稼いでいるか?を確認しないとミスリードします。

会社の儲けは、儲けている額と率を競合と比較して、また会社の過去の業績と比較してどうかを見ることで、現在どのような状態にあるか?成長しているのか?を確認することができます。

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